さて、どうする?

二児の父が考えた子育て方針の備忘録。父親目線で育児について気づいた事を書いてます。

目の前の奇行に想像を巡らせたら最終的に泣きそうになった話

数ヶ月前の話ですが、仕事帰りにこんな光景を見ました。

 

忙しい時期だったので夜11時頃に会社を出て、家路につくためにJR横須賀線に乗った時の事です。遅い時間帯でしたが乗客は多く、シートは満席でつり革も8割程度は埋まっている状況でした。

 

私は幸運にも座れていたのですが、対面席に座っている男性客がおもむろにカバンから弁当箱を取り出し、その場でムシャムシャと食べ始めたのです。

「なん…だと…!?」

私は目を疑いました。

 

利用している人は分かると思いますが、首都圏のJRの車両はシートが結構狭いです。両脇に体格の良い成人男性が座ると、とても身動き出来ません。また、夜遅くまで一生懸命働いた人々が大勢乗っている電車はほのかに体臭が漂っており、私ならとても食欲は湧きません。

 

そんな中、その男性は膝に置いたカバンをテーブル替わりにし、身をよじらせながら弁当をガツガツとかきこんでいたのです。恐らくは恥ずかしいのでしょう、少しでも早く食べ終わりたい気持ちが目に見えて分かるほど、ガッついて食べ急いでいました。

 

皆さんはこの光景をどう思いますか?

私は正直、ドン引きでした。恐らく周りの乗客もそうだったと思います。

何をやってんだこの人は? 電車で弁当食べるなんて非常識じゃない?つーか、恥ずかしいならここで食うなよ。帰ってから食えよ。◯鹿じゃないの? と。

 

しかし、冷静にこの男性の立場になって考えて見たところ、むしろ逆にこの男性の行動に優しさを感じ、最終的には少し泣きそうにさえなったのです。

 

まず、夜11時の電車に乗っている時点で、この人はかなり仕事が忙しいと思われます。手付かずの弁当があると言うことは、昼食も取れないほどに忙しかったはず。

しかし、奥さんが作ったであろう愛妻弁当をそのまま持ち帰るとどうなるか。きっと夕食は用意されているでしょうから、手間暇かけて作った弁当は食べずに廃棄する事になるでしょう。仕方がないとはいえ、彼はそれを許せなかったのだと思います。

そのため「ほぼ満席の電車内で弁当を食べる」という修羅の道を選んだのだと思います。恥ずかしい?臭くて食欲が湧かない? そんなことは関係ありません。全ては弁当を作ってくれた奥さんへの感謝と愛情のためです。

そしてきっと彼は、帰宅後にいつもと同じように空の弁当箱を渡して「ありがとう、美味しかったよ」と言うのでしょう。実は昼に食べる時間も無いくらい忙しく、帰りの電車内で他の乗客に見られながら食べている事など一言も口に出さず、いつも通り振る舞うことでしょう。

そこまで想像した時点で胸がジーンとなり、少し泣きそうになりました。 あんたいい人だねぇ(´;ω;`)

 

 

…はい、全て私の憶測です。実際の理由は知る由もありません。 

 

ただ言いたかったのは、一見奇妙に見える行動にも実は正当な理由があるかも知れない、と言うことです。ただ一瞥して「◯鹿じゃねーの?」で終わらせてはいけません。何事にも理由はあります、ただそれを知る術が無いだけです。

 

それだけです。